日記

カテゴリー(スマホ版は画面下部)で雑記と小説を分けています。

美が欲しい。

前の職場に異動でやって来たAさんのこと。

BUMPの『ギルド』ちゃんといい、最近ふと昔の人ぞ偲ばるる。

 

 

彼が来た当初、給湯室で「Aさんって相手によってめっちゃ態度変えるらしいよ」って噂を聞いたが、笑顔で挨拶してくれるし、年上なのに腰の低い態度で、ちょっと丁寧すぎて芝居がかった雰囲気はあるけどいいお兄さんやんって思ってた。

ら、二ヶ月目くらいで突然、手のひらを返したように冷え切った態度になった。

Aさんが当初の態度を保ち続けたのは、職場の偉い人と、部署でも仕事が出来て有能で上司に頼りにされている人。

ナルホド、最初の二ヶ月は全員に出力100%で丁寧に接して、その間に部署のパワーバランスを把握し、丁寧に接してもメリットがないと判断した人間(私もその一人)には労力を使わなくなるってことか。

私は無能代表なのでAさんの判断は正しい。むしろ私の能力に見合わない低姿勢で接されて落ち着かなかったのでホッとしたくらい。

最初は全員に丁寧に接しておいて、無能組にだけ態度を変えれば、有能組にとっては彼は一貫して丁寧で腰の低い好人物のままだ。頭いいなAさん。

「Aさんは相手によって態度を変える」と肌で感じるのは私のような無能側であって、今まで通りの態度が続く上司やキーパーソンは「媚びられている」とは気づきにくい…か???だって同じ空間で起きてるんだぜソレ???

まぁハリボテ感は否めないが効率的な処世術の一種なのかもしれない。

もし「相手によって態度を変える」と噂される程度のことが大したデメリットではなく、承知の上でその手法を使っているなら、清濁併せ呑む態度に好感度が上がる。

実際は「有能組の反応だけが気になって無能組の反応は意識外」なんだろうけど…。

私とか絶対に道端の石ころ程度で人間だと思われてなかった。

相手の利用価値によって態度を変えるのが悪かどうかは各々の価値観によるだろうけど、今回は仮にそれを悪事だとして。

「己を悪と自覚しながら悪行をなす」ってかっこいいやん?

「己が悪であることから目を逸らして悪行をなす」の場合、どうしても小物感というか卑怯さが出てしまうのが惜しいんだ。

美が!!!

損なわれるでしょう!!!

つまり!!!

私が露骨に冷たくされるのは全然いいんだけど!!!

もっと自覚のある悪が欲しかった!!!

見せびらかすが如く堂々と咲かせて欲しかった…。

 

あ、さっきから書いてるのは他人を利用価値の有無でランク分けして態度を変える計算高さについてね。これは人間なら誰でも多少はあると思う。あまりに露骨だと「悪」っぽく見えるだけで。

合わない人と距離を置く勇気と自尊心は生きるのに必須だと思う。「誰にでも同じように接するべき」は幻想。線引きは防衛かつマナーだけど、気が引けて苦手って人も多いよね。大人のマナーだと思ってやるといいって聞いてナルホドって思った。

 

ちなみに私は全力で精一杯頑張っても脳みその限界だった。清々しい無能。

そのうえ心の中でとはいえAさんに身勝手な美意識を押し付けようとしている。悪。