ヴァの新曲イベいつだろ。
二(英智)
天祥院家に一人で呼び出されてマージンの支払い内容を聞かされた時、斎宮くんは久しぶりに怒り狂ったけれど、僕が「じゃあ影片くんでもいいよ」と言った途端に大人しくなり、スキンなしのセックスは絶対にしないという条件で応じてくれた。
でも彼がノンスキンの方が痛くないと気づくのにさほど時間はかからなかった。
中には出さないからという約束で一度だけ直に交わって以降、彼は僕が避妊具を装着しなくても文句を言わなくなった。
相変わらず馬鹿だな、と思った。
呪いの言葉を吐きながら股を開いて僕の背中に縋る彼を可愛いと思ったし、恨み言が全て喘ぎ声に塗り替えられる頃にはただ愛しかった。
斎宮くんに「どうして?」と聞かれる度に笑ってやり過ごしたのは、単に好かれている自信がなかったからというのもある。
それに、答えを与えずもどかしい思いをさせているうちはまだ彼が僕の支配下にあると思えた。
+ + +
「……ハッキング?」
僕が出資している企業のサーバーに不正アクセスがあったと報告を受けた。
顧客データも社外秘の技術も無事だったので対外的に謝罪しなければならない事態は避けられたが、懐を探られていい気はしない。
不正アクセスはすぐに駆逐したらしいが、発信元を辿ることは出来なかったという。
情報を盗みたい側と阻止する側の目に見えない戦いは世界規模で行われている。
(続?)